転職というのは、現在ついている職を辞して異なる職につくことです。この転職には自発的に転職する場合と、使用者の都合により転職する場合とがあます。日本の雇用形態では、明治時代は引き抜き等により職人の転職が活発だったのですが、大正時代頃から終身雇用が一般的となりほとんんどみられなくなりました。ですがその後、バブル崩壊の影響で離職者が多くなり、現在では労働者全体に占める割合は少ないものの、転職は増加傾向にあるといえます。日本ではあまりポジティブに考えられていない転職ですが世界的に見るとそうでもなく、例えば、アメリカでは転職をキャリアアップのチャンスととらえる考え方が主流です。それに比べると日本の労働移動率は依然として低くなっており、近年は雇用が流動化してきていると言われているものの、長期雇用の伝統が残っています。労働体系としては、ヨーロッパ諸国のそれに近いといえるでしょう。
また、転職希望率及び実際の転職率については、職種毎に大きな差があり、例えば、システムの企画・開発や運用・保守に携わるITプロフェッショナルでは、転職希望者は2人に1人という非常に高い水準にあり、その理由の第一は「給与に対する不満」となっています。また、3人に1人が「より将来性のある組織で働きたい」と答えているというデータも出ています。これは、総務省の労働力調査によるデータなのですが、その他にも「全就業者に占める転職経験者の割合は5.1%で、15-24歳では12%程度を占めている。」、「女性の転職率は横ばいもしくは減少傾向にあるが、男性は高年齢層を除いて増加傾向にある。」、「2004年は、転職を希望している就業者の割合は全産業平均で9.7%となっている。年齢別では25〜34歳が14.8%と高く、35〜45歳が9.6%、45〜54歳が8.1%となっており、若年層ほど転職希望がいくらか高い」という結果も出ています。
転職後の給与の平均的な水準としては、継続して勤続していた正社員の約7割となり、産業別にみると、2003年のデータでは、卸売・小売業や、金融・保険業では約8割となる一方で、運輸・通信業や電気・ガス・水道業では約6割となっています。転職による賃金の変化については、若年層の転職ほど転職後の給与が高くなりやすく、加齢に従って水準が伸び悩むという例が多くなっており、過去と比較すると、1995年においては転職後は給与が高くなる者の割合が多かったのですが、その後減少していき、2005年においては、転職後は給与が低くなる者の方が多くなっています。
転職先を探す手段としては、知人の紹介・勧誘、引き抜き(スカウト)、自分で探すなどが一般的ですが、最近では転職情報専門の雑誌が発行されていたり、インターネットでの転職情報サイトがあり、転職先が探しやすくなっています。
求人情報には、非公開のものも含まれることもあるので上手く使えればチャンスになります。転職情報誌では「インテリジェンス」「リクルートエージェント」「キャプラン」「転職×天職」「パソナキャレント」「アイ・アム」などが有名です。また、企業のホームページ等で公開されている求人情報や、ハローワークを利用して職業するという方法もあります。
自営業などでは、求人情報を公にしていない企業も多くあり、知人の紹介・勧誘による転職が比較的多くなります。また、スピンアウト時も同様な理由で、紹介・勧誘という手段が多く使用されます。高度に専門的なスキルを持っている人材に対しては、引き抜きが行われることがあり、引き抜き対象の調査や調整負担が大きいため、専門の企業が仲介することも多くなります。その他にも、その人物を辞めさせたい企業が裏で転職専門企業と連絡を取って引き抜きを演じることによって、トラブルなく気持ちよく辞めてもらおうという戦術などもあり、これらは転職情報サイトが提供するスカウトサービスとは基本的に別物といえます。また、人材紹介サービスでは、転職希望者にヒアリングを行って、自社が保有する求人情報のうち適当なものを提案するという方法がとられています。
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Last update:2023/4/19